それでいい。 自分を認めてラクになる対人関係入門(細川貂々 水島広子/創元社)

『それでいい 自分を認めてラクになる対人関係入門』(創元社)
著 漫画家 細川貂々 & 精神科医 水島広子

目次

本書を手に取った理由

自己肯定感が低いと生きるのが辛い。
自分の発言や考えに自信を持つことができない。
感情的になってしまったり失敗したりするたびに自己嫌悪に陥る。
このループから抜け出したいけど、どうしたら良いのかわからない。

そんな気持ちを通っているメンタルクリニックの医師に相談したところ、水島広子氏の著書を勧められた。

マンガが多くてサラッと読める

水島広子氏はいくつか本を出しているのだが、その中でも「マンガが多くてサラッと読めそうだから」という理由で本書を手に取った。
細川貂々氏は『ツレがうつになりまして。』で有名な漫画家だ。
やさしい雰囲気の画風なので、リラックスした気分で読むことができる。
「自分と向き合う系の本は気分が重くなりそうだから読みたくない。」
…と思ってしまうくらい心が疲れてしまっている人には、ぜひ本書をおすすめしたい。

筆者のプロフィール

本書は漫画家の細川貂々氏と精神科医の水島広子氏による共著である。

細川貂々(ほそかわ・てんてん)

1969年生まれ。セツ・モードセミナー出身。漫画家・イラストレーター。1996年、集英社『ぶ〜けDX』にてデビュー。パートナーの闘病を描いたコミックエッセイ『ツレがうつになりまして。』『イグアナの嫁』シリーズ(幻冬社)は映画化、ドラマ化もされた著作。男親中心の育児を描いた『ツレパパ』シリーズ(朝日新聞出版)、自信の職業遍歴を描いた『どーすんの私』シリーズ(小学館)なども出版。また、母娘問題に切り込んだ『それでも母が大好きです』(朝日新聞出版)や、宝塚歌劇の歴史を描いた『タカラヅカ夢の時間紀行』(亜紀書房)を上梓している。

細川貂々『それでいい 自分を認めてラクになる対人関係入門』創元社 巻末

水島広子(みずしま・ひろこ)

慶應義塾大学医学部卒業・同大学院修了(医学博士)。慶應義塾大学医学部精神神経科勤務を経て、2000年6月〜2005年8月、衆議院議員として児童虐待防止法の抜本改正などに取り組む。1997年に共訳『うつ病の対人関係療法』を出版して以来、日本における対人関係療法の第一人者として臨床に応用するとともに、その普及啓発に努めている。現在は対人関係療法専門クリニック院長、慶應義塾大学医学部非常勤務講師(精神神経科)、国際対人関係療法学会理事。主な著書に『自分でできる対人関係療法』『トラウマの現実に向き合う』『拒食症・過食症を対人関係療法で治す』『恐れを手放す』『女子の人間関係』『自己肯定感、持っていますか?』などがある。
ホームページ http://hirokom.org

水島広子『それでいい 自分を認めてラクになる対人関係入門』創元社 巻末

特に気になったポイント

ストレスを感じた時にネガティブになるのは当たり前

「ネガティブになっちゃいけない」と自分の気持ちを否定するのではなく「ネガティブになって当たり前、それでいいのだ」と認めてあげることが大切。

五感と同じように、感情も刺激に対する反応なのだ。
仮に自分以外の人にとってはなんてことないことだとしても、自分が嫌だと感じたのならその気持ちを尊重するべきだ。

人間の変化は現状の肯定からしかありえない

今の自分を否定し続けていると地に足のついた変化は起こせない。
まず今の自分を認めること、その上で「でも、できればこうなっていきたいな」と変化していくことはできる。

期待に応えられない自分を”ダメ人間”と思わない

例えば人に「なんでそんなにネガティブなの?もっとポジティブになりなよ!」と言われたとする。
自己肯定感が低い人は「やっぱポジティブじゃないとダメだよな。ポジティブになれない自分はダメだな。」と自分を責める気持ちが湧いてくることが少なくないはずだ。
(わたしはまさにこんな感じの思考回路だ…。)

水島氏曰く、このような”できそうもない無理なこと”を求められたときに「怒り」を感じられると健康なのだとか。
この怒りとは相手が自分に対して不適切なことをしてきたシグナル。
こういう怒りは「健康で、自分の変化につながる怒り」だと言えるそう。

出来そうもないことを言われたら「無理だ」と落ち込む前に怒っていい。

ここで注意しておきたいのが、怒るのはいいが、怒りを相手に感情的にぶつけてはいけないということ。
それを言われて自分はどんな気持ちになったのか、どうしてほしいのか…などの意見をちゃんと言葉で相手に伝えることが重要だ。

「怒り」という反応は人として正常

怒っていい。わたしたちは怒っていいのだ。
(怒りを引きずるかどうかはまた別の問題)

怒りを感じた時「怒り=自分は困っている」と翻訳してみることで「じゃあどう解決しよう? 誰に相談しよう?」と対策を考えたり行動したりすることができるのだとか。

何か嫌な出来事に対して「またイライラしちゃった。わたしってダメだ。」という思考でいたら問題は解決しない。
怒りを認めることが前向きな思考や行動に繋がるのだ。

自己肯定感が低い人間は怒るのが苦手だ。
「これって怒っていいやつなのかな?」と迷って飲み込んでしまうことも少なくないと思う。
そんな時は「もし大切な人が同じことを言われたらどう思うだろう?」と発想を切り替えてみるといいらしい。

まわりを完璧で優秀だと思わない

皆が優秀で素晴らしくて完璧だと思わないこと。
自分以外の人も完璧ではないのかも、それぞれの事情の中で苦労しているのかも…という発想を持つこと。
それが自分や人に対する優しさに繋がる。

わたしは相手に対して「もっとこうしてほしい」、「こうするべきなのに…」と完璧な行動を求めてしまいがちだ。
相手も自分も完璧じゃないのだから最善の行動を取れないことだってある。
そう思うことで心に余裕が生まれると思う。

わたしは誰かの理想を押し付けられるべきではない。
同じように、他人だってわたしの理想を押し付けられるべきではないのだ。
これは肝に命じておきたいと思った。

重要な他者

自分の情緒に最も大きな影響を与える人たちを専門用語で「重要な他者」と呼ぶらしい。

三重(さんじゅう)の○の中心から第一層、第二層、第三層の3つに分けられている。

  • 第一層:いちばん仲良くする相手(家族、恋人、親友
  • 第二層:ほどほどに仲良くする相手(友人、親戚など
  • 第三層:仕事などが上手くいく程度に関わる相手(職場の人など

これは好き嫌いに関係なく分類される。
重要な他者にあたる人たちのことは、必ずしも好きでなくてもいい
しかし、例えば”関係が悪い親が亡くなった”という時でも、情緒的には大きな影響を受けるのだとか。

対人関係療法のデータや水島氏の臨床経験によると第一層の「重要な他者」との間の「ずれ」は、時にうつ病などの病気を引き起こすほど深刻。
第一層の問題はそのまま病気に繋がるが、第二層や第三層の問題は、第一層との関係によってその影響が大きく変わってくるのだそう。

また、愚痴を言いたいときは第一層の「重要な他者」の人に聞いてもらうようにすべきだとか。
人は互いに役割期待というものを抱いている。
関係性が薄い人にヘビーな相談や愚痴などをこぼすと「なぜ(ただの職場の同僚である)わたしがそんな話を聞かされないといけないの?」と相手に不快な思いをさせることに繋がるのだそう。

さらに重要な他者に愚痴を聞いてもらうときには「何かアドバイスをしなくちゃ」と相手に負担をかけないためにも「ただ話をきいてもらうだけでいいの。」というスタンスで話すようにすると良いらしい。

一番よくないコミュニケーションは「沈黙」

沈黙はコミュニケーションを取ることを完全に拒否している状態。
これでは相手に何も伝わらない。
沈黙の次によくないのが、態度で相手に察してもらおうとすること。(舌打ちやため息など)
これも相手に自分の意図がうまく伝わらずに「ズレ」が生まれてしまう可能性が高い。

相手に自分の気持ちを正しく伝える努力をせずに、勝手に「なんでわかってくれないの!」と怒るのはお門違いということだろう。

思っていることをお互いに直接話した方がいい
すぐに考えをまとめられないときは少し時間を置かせてもらったり、口でうまく言えないなら手紙に書いて伝えても良いだろう。

他人から自分に期待されている役割を全うする必要はない

無理をしなくていい。”自分がやりたい範囲”でいい。
相手の言うことを全て聞いてあげる”べき”だ、というスタンスではいつか潰れてしまう。
「〜してあげたい気持ちはあるけど、これだけしか時間が取れない。それでもよければ。」
といった感じで「前置き+言い訳」をしていい。

自己肯定感が低い人は自分と他人の境界線があいまいで、相手の言うことをなるべくなんでも聞いてあげようと頑張ってしまう節があるようだ。
しかし相手の望みを全て叶えてあげられないからといって「わたしは優しくないダメなやつだ」と自分を責める必要な一切ないのだ。
相手が自分に抱いている”役割期待”が負担になるようなら、相手に改善を求めてよいのだ。

「ありのままを受け入れる」とは何もしなくていいということ

ありのまま=何もしなくていい。自然のままでいい。
ムカついたらムカついていい。
自分を責めたり改善しようと思わなくていい。

  • 感情を大切にする
  • そんなの人間だから当たり前だと思う

この2つを意識することで自分のネガティブな気持ちに優しくなれる。

生まれ持った気質や能力、育った環境など…今までの事情を振り返れば「今はこれでいい。当然のこと」というのが最も正しい結論なのだ。

「自分」と「行動」を切り分ける

行動を否定されているのであって、自分を否定されているわけじゃない。

例えば皿を落として割れてしまったとき。
皿はわたしがダメ人間だから割れたわけではない。
皿が陶器やガラスでできたものだったから、落としたら割れるのは当然のことなのだ。

まとめ

わたしは「怒っちゃだめ、うまくやらなくちゃだめ、相手に意見しちゃだめ」…といった感じで自分を抑えつけて生きてきた。
失敗したり感情的になってしまったりした時は「ああ、やっぱりわたしはダメな人間だ」と自分自身を徹底的に責め立てていた。

人と接すると嫌な気持ちになったりイライラしてしまう。
だからなるべく関わりたくない。
そんなふうに考えていた。

これから時間をかけて、少しずつ自分の考え方を変えていってみようと思う。
まずは相手に自分の気持ちを正直に冷静に伝えるように努力してみたい。
トレーニングすることで伝える能力を伸ばすこともできるはずだ。

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この記事を書いた人

個人事業主として自活することを目指している30歳。
前職は企画事務とデザイン業。

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