つたえるエッセイ 心にとどく文章の書き方(重里徹也 助川幸逸郎/新泉社)

『つたえるエッセイ 心にとどく文章の書き方』(新泉社)
著 重里徹也 助川幸逸郎

目次

はじめに

「読みやすく整理されていて、読み手の心にじんわり届くような文章が書けるようになりたい。」そう思って手に取った本。

下記の3点を学ぶことができれば良いなと思っていた。

  1. 伝わる文章のつくり方
  2. エモい文章の表現テクニック
  3. 文章力アップにつながる知識やスキルの身につけ方

しかしこの本は1番を重点的に取り上げた内容だった。
重里氏と助川氏の共著ということで、それぞれの観点から学ぶことができた。
二方とも大学教授ということで教えることが上手いのだと思う。
そして言うまでもなく文章作成能力に長けており、読みやすく理解しやすい内容だった。

特に気になったポイント

文を書く醍醐味

「人に伝える」と「自分の思想や感情を知る」の2つを同時にできるところが文を書く醍醐味だ、と重里氏が冒頭で語っている。

自分の中のモヤモヤした何かを「人に伝えたい」と思って文章に表現しているうちに自分自身がどんな考えを抱いているのか、どのような気持ちなのかを知ることができる。
思考や感情を文字に落とし込んでいくことで頭や心が整理されていくということは、多くの人が意識せずとも理解しているのではないだろうか。

しかし、問題は「人に伝える」という部分だ。
自分しか読まない日記であれば好きなように書いても問題ない。
人に読んでもらう、理解してもらう…ということを考えた時、文の組み立て方やテクニックなどが必要になってくる。
感情や衝動のままに突き動かされて書き上げた文章では、きっとうまく伝わらない。
文の組み立て方などのテクニックを学び、取り入れていくことが必要だと思う。

タイトルはめちゃくちゃ大事

これは助川氏によって書かれた項目だ。

タイトルには内容の方向性が示されている。
方向性を示すことで内容をある程度絞ることができるので、一貫性が感じられる文章になる。

読書感想文を書くのであれば、タイトルを小説の主人公の名前にするのか、作者の名前にするのか、小説の舞台となった地名にするのか…。

何か文章を書き始めるときは、まずタイトルをつけて書き始めるようにしたい。
書いているうちに違和感を感じたり方向性を変えたくなったら、何度でもタイトルを見直せば良いのだ。

あまりに縛りがなさすぎると、どうしたら良いのかわからなくなることがある。
そんな時も、仮でも良いからタイトルをつけることで、きっと筆が進みやすくなるだろう。

最善策を禁じてみる

これも助川氏によって書かれた項目である。
わたしがこの本の中で一番ビビっときた箇所だ。

「人並み」から脱却するには「意外性」が有効だとか。

助川氏の父は、陸軍士官学校で「いちばんいいと思う作戦はぜったいに採用するな。かならず敵もその作戦を予測して、対策を立てている」と教えられたらしい。
このエピソードを読んだとき、目から鱗が落ちた気持ちだった。

助川氏は「学習塾の国語講師アルバイトに応募する際の自己PR文」を例に挙げていたのだが、これが分かりやすかった。
大学の生徒に、上記のお題で文章を作成してもらったらしい。

多くの人は「国語が好きor得意」、「子どもが好き」の2つを軸に構成していたそうだ。
(わたしもそうするとおもう)
しかし、それだとおそらく他の大多数の応募者と似通った内容の自己PR文になってしまう。

ここで、助川氏は生徒に、嫌いな科目である「体育」について「どのように教えてもらいたかったか」といった切り口で書いてみることをアドバイスした。

生徒が提出した改定後の答案は「わたしは体育が苦手だった。自分の生徒には同じような悔しい思いをしてほしくない。だから、わたしが教える立場になったらこんなふうに教えたい…」といったような内容の自己PR文。

改訂前と比べてみると、意外性はもちろん説得力も増している。
同じような内容の自己PR文たちの中で、間違いなく採用者の印象に残りやすくなるだろう。

いつでも有効なやり方ではないけれど「最善の策」をわざと避けるという手法があるということを覚えておきたい。

たくさん書いて、あとから削る

こちらも助川氏。

800文字の文章を書き上げたいのであれば、まず1000文字の文章を書く。
そこから200文字削ることで、重複した表現や不要な文章を省いた密度の高い800文字が出来上がる…というもの。

はなから800文字だけしか書き上げていない場合、その中には200文字ほどの不要な箇所が含まれている可能性がある。
自分の文章を客観的に判断することは難しいが、他人の文章を添削する気持ちで思い切って削ることも大切だろう。

これは即実践できる内容だし、基本的にはどんな時も使えるテクニックだと思う。

まとめ

わたしが気になったポイントのほとんどが助川氏によって書かれた項目だった。
わたしも助川氏の講義、受けてみたい…!

本書で紹介されていたテクニックはエッセイで役立つ内容が中心だったこともあるが、ギラギラ感がなく落ち着いた語り口だったこともとても心地よかった。
著者であるお二方が書く文章は、わたしが書けるようになりたいと思っている文章のテンションに近いと感じた。

テクニックを学んで終わりではなく、どんどん文章を書いて実践していきたい。

本書に登場した映画『オープニング・ナイト』と俵万智の歌集『サラダ記念日』はぜひ目を通しておきたい。

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この記事を書いた人

個人事業主として自活することを目指している30歳。
前職は企画事務とデザイン業。

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